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ご挨拶

謹啓
 第27回日本航空医療学会総会を開催するにあたりまして、多くのご支援とご協力をいただきました会員の皆様に、心から御礼申し上げます。
 ドクターヘリの本格運航が始まって(2001年)18年、試行事業あるいは自主運航の開始(1999年)から数えると20年が経過しました。この20年の間に医療を取り巻く環境も変化してきました。ドクターヘリは当初、初療開始時間の短縮を目的とした、医師・看護師の救急現場への派遣、そして決定的治療開始時間の短縮を目的とした、医療機関への搬送時間の短縮を目的としていました。しかし、高齢化社会の進行に伴い、限られた医療資源でこれに対応するために、従来の医療圏を超えた長距離搬送を実践する役割もドクターヘリが担うようになってきました。ドクターヘリは、救急医療を担う、社会インフラとして完全に定着しています。
 一方、医療に関係する航空機はドクターヘリだけではありません。救急あるいは救助現場からの搬送を担う消防防災ヘリ、離島搬送を行なう自衛隊機、洋上救急を実施する海上保安庁の機体、また、最近は専用の固定翼機の活用も試みられています。大規模災害時には、それこそ人命救助のための多くの航空機の活動も想定しなければなりません。
 航空医療に従事する者は、それぞれの組織あるいは機体の特性を踏まえた上で、これらの航空機を活用する姿勢が求められます。必要に応じて適切な連携も実現しなければなりません。そのためには、お互いの組織について、特にそれぞれの得意な、あるいは不得意とする活動の内容について、探求することが必要となります。日本航空医療学会は、これを日常から追求することも、その役割の一つでしょう。
 現在、航空医療は日常的なものとなり、迅速な医療を必要とする救急現場、長距離の搬送を要する医療過疎地域では、必要不可欠なものとなっています。今後は、医療を提供するシステムとしての質を担保していく必要があります。また、災害時の航空医療のあり方についても早急に整理する必要があります。消防機関をはじめとする救助機関、そして関係省庁、都道府県等行政との組織を超えた共通認識の醸成が必要と考えております。
 今回、総会テーマを、「多職種連携と安全文化の伝承」、といたしました。航空医療の安全は、航空機の安全な運航が前提となります。航空医療に関わる医療従事者として、航空機の可能性と限界を見据えつつ、運航従事者と共に職域の垣根を超えた協働のあり方を追求していきたいと考えております。
 大きく発展しつつある航空医療において、関わる個々人の責任ある行動が求められることはもちろんですが、多くの関係者の集う組織としての航空医療学会の果たすべき責任も大きいものと考えております。

謹白

令和元年11月吉日

第27回日本航空医療学会総会
会長 早川 達也
(総合病院 聖隷三方原病院 高度救命救急センター)